もう秋た 512c (備中・羽山渓)

初めてこのルートを登ったのは今から10年くらい前かな。
羽山右壁の最弱点をついた見事なライン取りと、ムーブの多彩さ、それにルートの美しさはすばらしいの一言であり、備中屈指の好ルートだと思う。

初登者は当初、最上部を直上しようと打ち込んだが、どうしても繋げて登ることができず、結局、直上を諦めて「直上はもう飽きた」と、右にラインを取り初登したのがルート名の由来。
しかし、どう考えても右が弱点だったので、そのとき直上では登れなかったが、弱点をついた大人気ルートの誕生となったので、結果オーライ、それはそれでよかったのだろう。もしこのとき、初登者が直上に成功していたら、もう秋たというルートは存在しなかったかもしれないのだから。
直上の方は長い間プロジェクトだったが、ご存じのように平山ユージ氏により初登され、今では羽山の5.13ルートの登竜門的存在となっている。

少し前だが、「そのまま過ぎた」が登攀禁止なら、同様にこのルートも登攀禁止にするべき、という意見があった。
「そのまま過ぎた」は、取り付きこそ左の「半日仕事」と同じだが、途中から大きく右にトラバースし、最後はルートが道路の上にくる。
今までクライマーと車との間にトラブルなどは起こっていないと思われるが、これから先も、接触事故などトラブルが起こらないという保障は誰にもできないわけで、もしこの先、「そのまま過ぎた」が原因でトラブルが起きてしまい、エリア自体が禁止にでもなれば取り返しのつかない事態になるため、問題が起きる前に手を打とうと、クライマー間で話し合いが行なわれ、登攀禁止を取り決めた。
「そのまま過ぎた」はムーブが面白い好ルートで、登攀禁止はとても寂しいが、この取り決めは客観的に考えた場合、最良の措置だったのではないかと考えている。

さて、もう秋たで問題とされるべき点は、ロワーダウン時に屋根の上に降りてしまうこと、1ピン目までがアブミによるA1のため多くのクライマーが1日中アブミを掛けっぱなしにしている点、それと、トンネルから出てきた車からビレイヤーが目立ってしまう点、などである。
したがって、「そのまま過ぎた」とは明らかに問題点が違うといえる。

TCNetでは一昨年、もう秋たの取り付きを右の「見苦しくカンテ」と同じにすることでそれらの問題点を回避することができると考え、もう秋たの取り付きを変更した。

(2007/07/04に公開)
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* エリアでの注意点・マナー


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