落石に注意しましょう

石灰岩において、春は落石の多い季節です。
特に用瀬エリアは、落石多発地帯といっても過言ではありません。2ルンゼはもちろんのこと、キャンプサイド、1ルンゼ、岡山エリア、奥の院、じゃろう岩なども、この季節は落石に細心の注意が必要です。ニューエリアも、日によっては壁の上部から石がヒュンヒュン飛んでくるので、アプローチで落石に見舞われると逃げ場がありません。2ルンゼ、キャンプサイドなどでは、過去に落石による重大事故が発生しています。

以下に挙げる項目は、落石に対する最低限の安全対策です。落石には十分注意してください。

  1. 落石を落とさない。又、落石の危険のあるエリアではヘルメットを着用する。
  2. 人為落石、自然落石に関わらず、もし落石が発生したら、「ラクッ」と大声でコールして周りのクライマーに落石を知らせる。
  3. 落石の通り道、落石が降ってきそうなポイントをよく確認して警戒する。
  4. 落石の可能性がある場所で休憩しない。
  5. 落石が多いエリアに大勢のクライマーがいる場合、無理してそのエリアで登らない。
  6. アプローチに落石の危険がある場合、中途半端に離れて歩かない。
  7. ビレイヤー以外の人はクライマーの下に入らない。
  8. 春は自然落石が多い。落石の危険のあるエリアで無理に登らない。

以下の文章は、備中常連クライマーの方から以前 TCNet に投稿していただいた記事です。備中での落石対策に、ぜひ参考にしてください。

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皆さんが考えるのはせいぜい、岩から剥がれるくらいで2、30cmくらいの大きさの岩を想像されるでしょう。これでも完全に致命的となりますよね。もちろん、それくらいの岩の落石もありなのでしょうが、なんも、なんも自然の脅威は人間の予想・想像の域を遥かに凌駕します。

・帝釈峡神龍湖の石灰岩崩落現場
神龍湖の岩盤崩落現場

川エリアでは家くらい、レポーターエリアでは自動車くらいの大きさの落石(もはや、落石とは言えません。岩塔の崩落です。)を目の当たりにしました。これくらい
だとホント、地響きがします。もしその時、下に人がいたら?!と思うと・・・。 
(岡山エリアのレッジは安全ですが、下のレポーターエリアは非常に危険!)
また、権現の<五右衛門>の上部の大崩落も記憶に新しいと思います。この時も私は崩落直後を知っていますが、爆弾でも落ちたかのように地面が大きく陥没しており、凄まじい破壊力です。五右衛門の途中の剥がれそうな岩の落下は予想できましたが、上部のタワーそのものが崩れることを誰が予想できたでしょうか?

同じ権現の<シェイク・シェイク>上部の枯れた松を覚えていますか?あの枯れ松の倒木の時も皆さんが、下で憩ってたむろする道が大きく陥没しており、その残骸はとても、とても人間の手には負えませんでした。
あの松はいずれ倒れるだろうと予想はつきましたが、まさか立ち枯れ松ごときがこんなにスゴイとは・・あの松でさえ私の想像を超えていましたしね。
じゃろう岩の<寸足らず中野>もルートの一部が落ちるとか言うものでなく、岩そのものが崩れ落ちルートが消滅するというものでした。この時は、下の遊歩道は崩れて無くなっていました。

2ルンゼでもガレの上部から岩が転がり落ちてくるのに遭遇した人もいるでしょう。
でもそれは、そんなに大きくない岩たかが2、3個でしょう?
私が遭遇した時は、1m前後の岩を含む多数の岩が転がって降ってきました。私は20cmくらいを頭に食らって、頭蓋骨骨折、脳内出血でした。よく喋る、という後遺症(?)今でもありますよ。
1ルンゼの滝から上部は、空爆地帯です。1m級の爆弾が何個も落ちてきます。一の壁も同じです。現に新しい剥離、崩落跡が顕著に見られます。

そういったものは、不可抗力の事象であり、「そんなこと気にしていたらクライミングなんてできませんよ。」と言う人もおられるようです。
出来ればクライミングは自然の岩場でも、純粋にジムナスチックなスポーツであってほしいのですが、なにせ自然相手ですからそう、そう上手くはいきません。でも、出来うる限り危険な、及び冒険的な要素は排除して行く必要があると経験上、私は感じますね。
年寄りの取り越し苦労かもしれませんが、命あってのものだねです。用心に越したことはありません。
熟練者は、漫然と若い人を指導するのではなくて自然の岩場には絶えず、とんでもない危険が潜んでいる事も認識させることを実践して欲しいものです。

(平成24年2月23日加筆)