S田氏と私が設定、ユージさんが初登した備中初の5.14ルート「備後のユージ」とはどんなルートなのか、なるべくオンサイトに支障のないよう簡単に紹介したい。
権現から西に山を越えて、車で20分くらいの芳井町の学力石エリアに「備後のユージ」はある。学力石の岩場は1997年に私が発見したのだが、アプローチの関係で開拓の着手は遅れ、発見から2年経ってS田氏がアプローチ道を整備されたのを機に、S田氏と私で開拓を始めた。
その年の秋に「サイコネス(5.13c)」を完成させ、そのあとに「備後のユージ」を開拓した。
当然この美しいラインには、「サイコネス」をやる前から狙いをつけていた。
しかしトライを始めてみると、一箇所どうしてもムーヴがこなせないセクションがあった。
結局ムーヴがつながらないままにそのシーズンを終え、次のシーズンにまたトライしようと、公開プロジェクトとした。
そして、ユージさんがこの岩場を訪れてあっという間に初登、備中初の5.14ルートの誕生となった。
そして再登者が出たので、私も再びトライを開始。2004年の春になんとかR.Pに成功した。
ルートは傾斜120度の5.12くらいのセクションで始まり、まるでボルダーのようなトラバース、そしてノーレストで核心のカンテに突入、さらに上部5.13くらいのフェィスで構成されている。
非常に美しく、ストレニュアスかつテクニカルな内容で、グレードだけでなく、内容でも備中を代表するルートであるのは間違いない。
(2007/07/04に公開)
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