ダンゴのリズム 5.10c (備中・2ルンゼ)

初めて2ルンゼを訪れたときに(というより備中自体初めてのとき)、このダンゴのリズムが登れず、ずっと中間部コルネ帯でぶら下がっていたら、隣のフェイスのヌンチャクを回収していたS井君が、ダンゴのリズムの終了点の横で「ダンゴのリズムも回収しましょうか、どうします?」と、にやにやしながら言ってきた。悔しかったけど、一時間近くもぶら下がっていたので回収を頼んだ。

「ダンゴのリズム」は、コルネを使って体をフリフリして登る、短いけどこれぞ石灰岩というルートで、信じてもらえないかもしれないが、その時が初めての石灰岩だった私は、このルートに手も足もでなかった。

その悔しさから「2ルンゼを全部登る!」と心に誓い、それから一年くらいで2ルンゼを征服した(笑)。

(2007/07/04に公開)
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* エリアでの注意点・マナー


クラッシャーリョウ 5.12b (白滝の岩場)

「クラッシャーリョウ」のある白滝の岩場は、ルートの質、スケールともに申し分のない岩場で、備中屈指のスケールを誇るエリアである。
しかし、未発表のためにほとんど知られておらず、あまり登られていない岩場でもある。
どこにも発表されたことがないうえトポさえもなく、それに加えて用瀬周辺のメインエリアから離れていること、岩場が鬱蒼とした杉林で陰気な雰囲気であることなどが、最近クライマーが訪れない理由だろう。

「クラッシャーリョウ」は、いかにも石灰岩らしいコルネをつなげて登る長い持久力ルートで、このグレードの備中のルートの中では数少ないオンサイト向きの好ルートだろう。

この岩場があまり登られていないもう一つの理由として、駐車スペースの問題がある。岩場のすぐ横の駐車スペースは、詰めて置いても2台が限界で、そこに停めれないときは、下の県道の広いところに停めて歩かなければならない(アプローチ20分くらい)。

白滝にはプロジェクトがまだ3本残っている(うち一本は5.14以上は確実)。
今年こそはプロジェクトを完成させるべく、秋からは通いたい。

★ルート紹介(右から)
プロジェクト(5.14?)
クラッシャーリョウ 5.12b☆☆☆☆
チラベルト 5.12b/c☆☆
move13 5.12c☆
ファンタジスタ 5.12d☆☆
岩崎ルート 5.13a
プロジェクト(打ちかけ)
プロジェクト(5.13+?)
(詳しいトポはいずれアップします)

白滝の岩場は民有地である。訪れたときは、植林地の中で登らせてもらっているという意識を持ち、節度ある行動をお願いしたい。
駐車は下の県道にした方が無難だろう。

(2007/07/04に公開)
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* エリアでの注意点・マナー


備後のユージ 5.14a (学力石)

S田氏と私が設定、ユージさんが初登した備中初の5.14ルート「備後のユージ」とはどんなルートなのか、なるべくオンサイトに支障のないよう簡単に紹介したい。

権現から西に山を越えて、車で20分くらいの芳井町の学力石エリアに「備後のユージ」はある。学力石の岩場は1997年に私が発見したのだが、アプローチの関係で開拓の着手は遅れ、発見から2年経ってS田氏がアプローチ道を整備されたのを機に、S田氏と私で開拓を始めた。
その年の秋に「サイコネス(5.13c)」を完成させ、そのあとに「備後のユージ」を開拓した。

当然この美しいラインには、「サイコネス」をやる前から狙いをつけていた。
しかしトライを始めてみると、一箇所どうしてもムーヴがこなせないセクションがあった。
結局ムーヴがつながらないままにそのシーズンを終え、次のシーズンにまたトライしようと、公開プロジェクトとした。

そして、ユージさんがこの岩場を訪れてあっという間に初登、備中初の5.14ルートの誕生となった。
そして再登者が出たので、私も再びトライを開始。2004年の春になんとかR.Pに成功した。

ルートは傾斜120度の5.12くらいのセクションで始まり、まるでボルダーのようなトラバース、そしてノーレストで核心のカンテに突入、さらに上部5.13くらいのフェィスで構成されている。
非常に美しく、ストレニュアスかつテクニカルな内容で、グレードだけでなく、内容でも備中を代表するルートであるのは間違いない。

(2007/07/04に公開)
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* エリアでの注意点・マナー


秘密の穴園 5.12d(勝山の岩場)

勝山の岩場・・
最近、この岩場で登ったという話をほとんど聞かなくなった。
忘れ去られて久しいエリア。
しかしこのエリア、登りごたえのあるルートが並んでいるので、まだ登りに行ったことがないクライマーには、訪れる価値は十分すぎるくらいある岩場だと思う。

私も3、4回しか行ったことがないので、偉そうなことは書けないのだが、特にこの「秘密の穴園」と「メインストリートのならず者5.12d」は、ストレニュアスでしんどいルートだったように記憶している。
ムーブがキョーレツらしい「エスプレッソ5.13a」は、まだ登ったことがないので何ともいえないが、開拓メンバーのM脇氏曰く、「ターンパイクより難しい」らしい(先日ようやく第二登が出た)。
いつかやりたいと昔から思ってはいるが、「出だしのハング帯は並の人間ではこなせない」のH原氏のコメントに、ごく普通で並の人間である私は、恐ろしくてまだ手が出せないでいる・・!

ターンパイクより難しく、並の人間ではこなせないのにどうして5.13aなのかは不明だが、「男の花道」でも5.12dとグレーディングされていた時代のルートなので、グレードが辛いのはまず間違いないと想像はしているが。

穴園は、備中ではあまりないタイプのルートで、どちらかといえば鳳来のかぶったルートによくある感じの(かぶりは鳳来ほどないが)無酸素系持久力が要求される内容。
わかりやすくいえば、権現の笹の茶美人を難しくしたような感じかな。
これも発表グレードの5.12cはちょいと?だが、短いが内容の濃い3つ星ルートだ。

このエリア全般にいえることだが、終了点の作りがイマイチ良くないので注意が必要である。

(2007/07/04に公開)
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* エリアでの注意点・マナー


林京 5.13d (備中・羽山渓)

今さらここで言うまでもなく、羽山は質の高いストレニュアスなルートの宝庫だ。

この岩場を開拓したのは当時の岡山最強メンバーたちで、「男の花道」や「門前払い」、「お百度参り」などは、今でも備中屈指の高難度ルートとして君臨している。
これらのルートが人工壁もなかった時代に初登されたというのは驚きであるが、再登すれば開拓者たちがクライミングにかけた情熱が半端なものではなかったことが容易に理解できる。備中に限らず昔のクライマーはすごかった。

「林京」は、設定者が「男の花道」を完成させた後に設定したルートだが、長い間初登されずに未登のまま非公開プロジェクトとなっていた。
7年ほど前だと記憶しているが、「棲竜門」をR.Pしたあと羽山で出会った設定者から、「プロジェクト登ってもいいぞ」と言われた。その時は林京のスケールと、設定者の「男の花道より2グレードは難しい」の言葉にとてもそそられた。

そのあと、私は足を怪我して羽山には半年くらい行けなかったのだが、そのルートのことはずっと気になっていて、登れないのに松葉杖をついて見に行ったりもした。
それから春になり、トップロープでならなんとか登れるくらいまでに足も回復してきたので、早速羽山に向かった。終了点を7、8メートル上げ、次のシーズンに登るために準備を整えてそのシーズンを終了した。

しかし数ヶ月後、備中を訪れた世界のユージがあっさり初登してしまう(もちろん設定者に許可を得て)。
しかも、5.14は確実にあると思っていたグレードも5.13dで、これには初登をさらわれたのとあわせてかなりガックシきた。
でも、「ユージならしゃーないな」とすぐ前向きにそのことを受け入れ、自分も絶対登ってやる!とトレーニングを続けた。
それから大阪のN貝氏が第2登、私もストレニュアスな内容に苦労したが、なんとか第3登に成功した。

35メートルとスケールのあるこのルートは、レストポイントを挟んでパワーエンデュランスな下部と発達しきっていないコルネ帯の上部とに分かれる。
美しいフェイスの下部はボルダームーブが連続し、上部はロープも重くなりランナウトするので最後の最後まで気が抜けない。

「林京」は、間違いなくクライマーなら誰もがシビレる四つ星ルートである。
このルートが設定されてからユージが初登するまで10年かかったわけだが、つくづくクライミングってすごい遊びやな~と思わずにはいられない。 (ーー;)

(2007/07/04に公開)
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* エリアでの注意点・マナー